介護と仕事の板挟み、どうすればいいの?
家族の介護で、職を失いたくない。
近年増加している、介護離職は誰にとっても他人事ではない深刻な問題です。
介護と仕事の両立はどうすれば良いのでしょうか?
この記事では、介護離職を防ぐ5つの方法と政府の支援策について解説していきます。
- 政府の介護支援策
- 両立のためのポイント
- 企業の取り組み事例
政府が進める3つの介護離職対策
介護離職を防ぐために、政府は様々な対策に取り組んでいます。
ここでは、介護離職対策の中でも特に重要な3つの施策について解説します。
これらの対策を理解することで、仕事と介護の両立に向けた準備ができます。
介護休業制度の拡充
まず1つ目は、介護休業制度の拡充です。
介護休業とは、要介護状態の家族を介護するために、一定期間休業できる制度のことを指します。
この制度の目的は、以下の通りです。
- 介護の体制を構築するための時間を確保する
- 介護サービスの手続きを行う期間を設ける
- 心身の負担を和らげ、離職を防ぐ
政府は2023年より、介護休業の分割取得を可能にしました。
対象家族1人につき通算93日、3回まで分割して休業できるようになったのです。
また、休業中の所得保障である介護休業給付金の支給率が、67%から80%へ引き上げられました。
経済的な不安を和らげ、休業を取得しやすくする狙いがあります。
介護休業制度をしっかりと活用することで、仕事と介護の両立の第一歩を踏み出すことができます。
制度の概要を正しく理解し、職場に休業の意向を伝えることが大切です。
介護サービスの充実
2つ目の対策は、介護サービスの充実です。
介護保険制度では、要介護者の状態に合わせて様々なサービスが利用できます。
その代表例が以下の3つです。
- ホームヘルパーの訪問介護
- デイサービスへの通所介護
- ショートステイでの短期入所介護
2024年より、介護サービスの上限額が引き上げられる見込みです。
要介護度に応じてサービス利用の幅が広がり、より手厚い支援を受けられるようになります。
また、介護施設や在宅サービスを拡充することで、要介護者の受け皿を増やす方針も示されています。
介護離職を防ぐには、周囲の支援に頼ることが欠かせません。
介護保険サービスを利用する際は、ケアマネジャーに自身の仕事の状況をよく伝えることが大切です。
サービス利用のスケジュールを調整して、仕事との両立を目指しましょう。
相談支援体制の強化
3つ目は、介護に関する相談支援体制の強化です。
仕事と介護の両立では、様々な不安や悩みを抱えがちです。
1人で問題を抱え込まず、早めに周囲に相談することが重要でしょう。
国は、以下のような公的な相談窓口の拡充を進めています。
- 地域包括支援センター
- ハローワークの両立支援コーナー
- 家族の介護のための休暇制度や介護休業制度に関する相談窓口
これらの窓口では、介護に関するアドバイスや情報提供を無料で受けられます。
専門職のスタッフが対応しており、働く家族の立場に立った支援を行っています。
また、近年では会社の中にも、両立支援に関する相談窓口を設置するケースが増えています。
まずは人事部などに確認を取り、社内の支援制度を積極的に活用することも大切です。
周囲に頼ることで、介護の重圧から解放されるはずです。
1人で抱え込まずに支援を求め、仕事との両立を目指しましょう。
介護休業や介護サービス、相談窓口を活用することで、介護離職を防ぐことができます。
仕事と介護の両立を実現する5つのポイント
介護を担いながら働き続けるには、周到な準備が必要不可欠です。
ここからは、介護離職を防ぎ、仕事との両立を実現するための5つのポイントを解説します。
これらのポイントを押さえて、計画的に介護と向き合っていきましょう。
ケアマネジャーに相談する
介護の準備を始めるなら、まずはケアマネジャーに相談しましょう。
ケアマネジャーは、介護保険サービスの利用プランを作成するスペシャリストです。
要介護者の心身の状態を考慮し、その人に合ったサービスを組み合わせてくれます。
相談の際は、以下の点を詳しく伝えることが重要です。
- 介護する家族の状況
- 勤務先と労働時間
- 介護にかけられる時間
これらの情報を基に、ケアマネジャーが仕事と両立できるケアプランを提案してくれます。
自治体が運営する地域包括支援センターでは、介護の相談を無料で受け付けています。
介護の初心者は、まず相談することから始めましょう。
専門家のアドバイスを受けて、具体的な準備を進めていくことが大切です。
介護保険サービスを活用する
仕事との両立を図る上で、介護保険サービスの活用は欠かせません。
サービスを利用することで、介護の負担を大幅に軽減できるからです。
例えば以下のようなサービスが挙げられます。
- 訪問介護でホームヘルパーに家事を任せる
- デイサービスで日中の介護を補う
- 配食サービスで食事の準備を省く
サービス利用の際は、自己負担額を確認しておくことが大切です。
介護保険では、かかった費用の1割から3割を利用者が負担します。
収入に合わせて計画的にサービスを活用し、過度な出費は避けましょう。
必要に応じて、行政の経済的支援制度も検討してください。
ケアマネジャーと相談しながら、仕事との両立に必要十分なサービスを選択することが肝心です。
介護の社会資源を積極的に活用し、自身の負担を減らしていきましょう。
職場に制度利用の意向を伝える
介護を始めるなら、職場にその旨を正直に伝えましょう。
多くの企業では、仕事と介護の両立を支援する制度を用意しています。
代表的なものが以下の3つです。
- 介護休業制度
- 介護休暇制度
- 短時間勤務制度
これらの制度を利用するには、事前に申請が必要なケースがほとんどです。
まずは上司や人事部門に相談し、必要な手続きを確認しておきましょう。
職場に介護の状況を開示することで、周囲の理解も得られるはずです。
同僚にサポートを求めたり、仕事の調整を相談したりしやすくなります。
介護離職を防ぐには、職場の協力が不可欠です。
遠慮せずに両立支援制度の利用を申し出て、介護と仕事に取り組む環境を整えましょう。
要介護度に合わせたサービス利用と、職場の制度活用で仕事と介護を両立しましょう。
働き方の調整を行う
介護しながら働き続けるには、柔軟な働き方の調整が求められます。
介護の状況に合わせ、勤務時間や働き方を変えていく必要があります。
会社の人事部門に以下のような相談をしてみることをおススメします。
- フレックスタイム制の適用
- 始業・終業時刻の変更
- テレワークの実施
こうした制度の利用で、介護と仕事の両立がしやすくなります。
常に介護のスケジュールを優先し、状況に応じて対応できる働き方を選択しましょう。
また、業務内容の調整を上司に相談するのも良いでしょう。
出張や残業が難しい場合は、周囲のサポートを得ながら業務を分担することが重要です。
チーム内の協力体制を整え、お互いの状況を理解し合う雰囲気を作っていきましょう。
仕事面での工夫を重ね、介護との両立を目指すことが大切です。
前例にとらわれず、柔軟な働き方の実現を会社に積極的に求めていきましょう。
家族間で役割分担する
介護の負担を1人で抱え込まないためには、家族間の役割分担が不可欠です。
介護する家族同士で、以下のような点を話し合っておくことが大切です。
- 誰がどの介護タスクを担当するか
- 緊急時の対応をどうするか
- お金の管理や病院への付き添いは誰が行うか
事前にルールを決めておけば、介護が始まってからの衝突を防げます。
得意分野や専門知識を活かして、家族それぞれが介護に関わる体制を整えましょう。
実際のケアは福祉サービスを活用し、家族はそれぞれの生活と仕事を大切にすることが重要です。
遠方に住んでいて直接の介護が難しい場合は、別の形で貢献する方法を考えましょう。
必要な物資の調達や、経済的な援助もサポートのひとつです。
介護はチームプレイだと意識して、家族間で助け合う関係を作っていきましょう。
1人で抱え込まずに分担することが、介護を長続きさせられるポイントです。
介護離職を防止する企業の取り組み3選
最後に、企業が進める介護離職防止の取り組み3選を紹介します。
介護離職を減らすには、企業の支援体制を強化することが欠かせません。
以下の取り組みを推進し、働きながら介護する従業員を支援するケースが増えています。
社員の生活を支え、安心して働ける環境を作る、それが企業に求められています。
仕事と介護の両立支援制度の導入
政府は2023年より、企業に仕事と介護の両立支援制度の導入を義務付けました。
義務化された制度は、以下の3つです。
- 介護休業制度
- 介護休暇制度
- 短時間勤務制度
これらの制度を整備することで、従業員は安心して介護に取り組めるようになります。
介護と仕事の両立を支援する基盤が、広く社会に整ってきました。
企業は自社の状況に合わせ、さらなる独自の支援制度も検討しているようです。
介護補助手当や、リモートワーク制度を用意するケースも増えています。
法律で整備された支援制度を活用しながら、従業員のニーズに寄り添った会社独自の支援策を検討すること。
それが介護離職防止につながる企業の取り組みと言えるでしょう。
働きながら介護できるよう、家族と職場の支援が重要だね。
まとめ
この記事では、介護離職を防ぐ5つの方法と政府の支援策について解説してきました。
- 政府の介護支援策
- 両立のためのポイント
- 企業の取り組み事例
介護休業制度の拡充と質の高い介護サービスの提供、さらには支援体制の整備により、労働者が介護と仕事をスムーズに両立できる環境が整えられています。
困ったら、まず相談してみようね。
支援策をフル活用して、介護と仕事のバランスを取りながら安定した生活を目指してください。